実習3

祇園芸妓・美代春[1]の屋形[2]に、上七軒で芸妓をしていた母を亡くしたばかりの少女・栄子が舞妓志願に訪れる。栄子の父は美代春の昔からの馴染み客だったが、メリヤス問屋の商売が零落し、体調もすぐれずに細々とした日々を過ごしている。美代春の使いとして訪れた男衆[3]に向かって、栄子の保証人にはならないと言う。しかし、栄子の熱意に負けた美代春は彼女を仕込む決心をした。

一年間の舞妓修行を経た栄子は美代栄として見世出しし、お茶屋の座敷で車両会社の専務・楠田に見初められる。美代春も楠田の取引先である役所の課長・神崎に好意を抱かれる。

美代春と美代栄を連れて上京した楠田は、美代春たちには内緒で神崎も呼び寄せていた。宿泊先の旅館で神崎の相手をするように頼まれた美代春は困惑しながらも神崎と対面する。いっぽう、美代栄は強引に迫る楠田を拒みながら大怪我を負わせてしまう。この事件で美代春と美代栄はお茶屋への出入りを止められ、屋形で侘びしい日々を送ることになる。


しばらくして、お君から神崎の座敷に来るようにとの連絡が届く。従えば、美代栄の事件のことは許すという。戸惑いながらも行く決心をする美代春。一夜明けて屋形に戻った美代春をなじる美代栄。世代も考え方も違うふたりの心がぶつかり合ったのち、いっそう堅い絆で結ばれていく。